アルバイト
留学生活において学費や生活費の不足を補うために、アルバイトをする外国人学生が多いです。しかし留学生が日本に滞在するための「留学」 の在留資格は、原則的には働くことを禁止されている在留資格です。そのため留学生がアルバイトをするためには出入国在留管理庁の許可が必要です。また、決められている条件に違反しないようにしなければなりません。
❶留学生がアルバイトをするための条件
留学生が日本でアルバイトをするためには、アルバイトをするための「資格外活動許可」を取得すること、アルバイトの制限時間を守ること、アルバイトが可能な職種で働くことの3つの条件があります。
資格外活動許可
「留学」の在留資格は、原則的には働くことを禁止されている在留資格です。そのため、留学生が日本でアルバイトをするためには、出入国在留管理庁などで「資格外活動許可」の申請をすることが必要なります。(入国時に空港等で「資格外活動許可」の申請が可能です)「資格外活動許可」は、アルバイト先の勤務場所や活動内容が決まっていなくても許可を得ることが可能です。また、一度許可をもらえればアルバイト先が変わっても有効です。ただし、有効期限が在留資格の在留期間と同じ期間なので、在留資格を更新するタイミングで資格外活動許可も忘れずに新しくするようにしましょう。資格外活動許可の申請をして許可がおりるまでに2週間~2か月ぐらいかかるので、申請後すぐにアルバイトができないという点にも注意しましょう。
制限時間
資格外活動において、アルバイトする際には、1週間につき28時間以内と決められています。また、大学などの学校が夏季・冬季休暇などの長期休業期間中は1日あたり8時間以内まで働くことができます。(休学中は働くことができません)この28時間という上限は1つのアルバイト先に対するものではありません。2つ以上アルバイトを行っているときには、2つのアルバイトの合計の時間になることに注意しましょう。
職種
資格外活動において、風俗営業関連の業種で働くことを禁止ししています。「風俗営業」に関わる仕事とは、主にパチンコ店、麻雀店、ゲームセンター、性風俗店、キャバレー、ホストクラブ、スナック、ナイトクラブ、ダーツバー、ディスコ、パブなどを指します。これらのお店に関わる仕事全般が禁止されています。キッチンや清掃のお仕事であっても法律違反となるので注意しましょう。
❷アルバイトに得られる収入
日本では、法律で賃金の最低賃金額を各都道府県で決めて、企業は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないと決められています。下右の表は主要都市の最低賃金額の一覧となります。この表の最低時給は、1時間あたりの最低賃金額となります。都道府県別では、東京が一番最低時給が高く、1,041円です。一方で沖縄は820円と221円の差があります。しかし、住居費や生活物価が各地域で違うためどちらが得かは一概には決められません。全国の最低時給の平均は、930円となっています。
厚生労働省「令和3年度地域別最低賃金改定状況」
留学生のアルバイト収入のシュミレーション
留学生がアルバイトした場合、どのくらいの収入が見込めるかシュミレーションしてみましょう。
留学生のアルバイトは、「資格外活動許可」が得られれば、1週間のうち28時間以内の労働が認められます。例えば時給900円のアルバイトをした場合、月額:900円×28時間×4週間=100,800円となります。1週間で28時間労働するとなると1日4時間働くことになるので学業と両立するのは大変です。きちんと留学経費の収支計画を立てた上で留学するようにしましょう。
留学生のアルバイトの実態
(独)日本学生支援機構(JASSO)の私費留学生の調査によると日本に留学している私費留学生の70.4%がアルバイトをしているようです。すでに日本に留学している学生の平均的な時給、一週間あたりの労働時間、アルバイトの種類を把握することにより、日本のアルバイトで見込める収入について考えてみましょう。
❶時給額
時給については、地域や職種、勤務年数により変わりますが、下右図の調査結果によると、時給額で一番多いのは、1,000円〜1,199円で45.2%、次に800円~999円円で36.6%となっている。800円〜1,199円が約80%を占めていることから、留学生のアルバイトにおける時給はおおむね800円〜1,199円ということがわかります。
(独)日本学生支援機構
「2019年私費外国人留学生生活実態調査」
❷1週間あたりの労働時間
留学生の1週間のアルバイトの時間数は、「週20時間以上25時間未満」が 39.2%と最も多く、次いで、「週15時間以上 20時間未満」が19.2%となっています。1週間のアルバイト時間として20時間以上(28時間以下)働く留学生が全体の約50%を占めています。1日あたり4時間労働したと仮定すると、週5日〜7日働いている計算になります。
(独)日本学生支援機構
「2019年私費外国人留学生生活実態調査」
❷アルバイトの職種
留学生がアルバイトする職種については、軽労働の「飲食業」が 40.2%と最も多くなっています。次に多いのが、「営業・販売(コンビニ等)」が 33.0%と飲食業と営業・販売で全体の60%を占めています。また、大学内でのアルバイトとして、「ティーチングアシスタント・リサーチアシスタント」が5.3%、日本語能力が高い学生が可能となる職種として、「翻訳・通訳」が6.3%と続いています。
(独)日本学生支援機構「2019年私費外国人留学生生活実態調査」